世俗詩人 ダンテ
世俗詩人 ダンテ
「ホメーロスからプラトン、アリストテレスを経て、やがてキリスト教時代へと至る古代から中世の、ミメーシスの歴史的変遷過程の概観に眼を通してみれば直ちに明らかになるように、はじめから著者の視点の中心は、後にミメーシス論として全面展開されることになるあの現実描写、言い換えれば模倣による現実解釈の問題に、一貫して据えられている……アウエルバッハが『神曲』の彼岸世界に見出した現実描写は、このような彼岸と此岸相互の反映関係の内にあって、永劫へと投影されているダンテのレアリスムということなのである。後に成就とフィグラという二つの概念に結実することになるこの相互関係の座標軸のもとにこの上なく中世的なダンテの世界像を解明する試みが、すでにこの最初のダンテ論において第一歩を踏み出しつつある」(あとがき) ダンテ自身の生涯と歴史的・社会的事象を視野に収めつつ、具体的な作品分析を通して、『神曲』の表現と構造をみごとに解明した、クルツィウスと並ぶ著名なロマニストによる記念すべき処女作。
https://gyazo.com/7cbf51ec2724d17672a8fb00319c79f1